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んー。学生時代の専攻を書いてもねえ。 当時は時代の最先端のことでも、10年も経てば当たり前のこと。20年経ったら陳腐なものになってしまう。 社会人になって企業の一員になっても、そうだった。 生来の食いしん坊から書いたものが、学生時代に1度だけ雑誌に載ったことがある。原稿用紙わずか2枚の量だったけれど、文才がないため徹夜の作業だった。 社会人になってまもなく、酒席でボクが喋ったことを聞いた友人がこう言った。「それ、面白いから雑誌に書いてみない。編集長、紹介するから」 とは言ってもねえ。400字詰めの原稿用紙わずか2枚書くだけで徹夜したくらい。漢字は知らないし、遅筆だし。だいたい国語とか社会科などは、自慢じゃないけれど小中学校を通じて2と3しかとったことがない。理数系でなんとか救われてきた人間なのに・・・。 原稿用紙12枚なんて、とてもじゃないけど。 それでも、酔っ払ったて煽てられて。「やってみようか」という気になって。 締め切りの日に、紹介者と神田駅で待ち合わせた。 どうしよう。12枚といわれたのに、9枚しか書けていない。 「えっ!」 紹介者は驚いた。 2人そろって平身低頭するつもりで。土下座してでも。そういうヤバい気持ちを抱えながら、編集長に会った。 下手糞な文字が書かれた9枚の原稿に目を通した編集長から出た言葉は、「おもしろいですねえ」 ほ。「んー。でもこれでは未完だし」 で?「入稿まで3日あります。この原稿はコピーを預からせていただきますので、明後日までに12枚に仕上げてください」 しゃかりきになって書きましたよ。 でも、「12枚でまとめる」という技術がない。20枚になってしまった。 20枚の原稿を読んだ編集長。11枚目の最初のところに、赤鉛筆で線を引いて・・・。「今回はここまでにしましょう。足りない分はカットで埋めます。この内容ならば連載でいけるので、来月、続きをお願いします」 それが、なんと・・・。シリーズものとして6年半の長期連載に。 名の知れた雑誌ではなかったけれど、それでも全国の書店に置いてある。定期購読者も少なくなかったので、万の数の人が読者についてくれた。 書いた内容は、科学評論もどき。 一般にはほとんど知られていない最新情報を紹介したり、常識のようになってる間違った情報を批評したり。 たとえば、今では日常語にまでなっている 「活性酸素」 を一般書店に置いてある雑誌でとりあげたのは、おそらくボクが日本では最初だと思う。 書くことじたい慣れれば1時間数枚のペースで書けるので、12枚ならば3時間もあればできるが、ネタ集めとその裏取り調査がたいへんだ。 本業を持ちながらの連載執筆は、月刊誌であってもきつい。ところが、連載をもっていると、あちこちから寄稿の依頼がくる。月刊に加えて週刊の連載を抱えたこともあった。原稿を出したとたんに締め切りが目の前。本業のほうも深夜まで残業・・・。今ではとてもできないが。 でも、長いこと 「表現者」 という立場にあったことから見えてくるものがいろいろある。 平成9年の夏。新宿で呑んだ帰りに酔った勢いで買った古地図の復刻版。ケースには「元禄十年頃」と書かれている。刊行年月が「頃」とはっきりしないのは、後世の人が何かをもとに判断したからだろう。 判断材料は何なのか? ん。元禄十年頃・・・「忠臣蔵」の題材となった事件の数年前だ。 以前、出版社の社長からの依頼で 「忠臣蔵もの」の本の企画にかんだことがあった。 ボクは歴史苦手人間だったから、そんなことでもなければ「元禄十年頃」と「忠臣蔵」の題材となった事件が結びつくわけがない。 酔ったついでとはいえ、せっかく買った「江戸大絵図」。元禄時代の事件現場を探した。 今のJR両国駅の南。近所に回向院という寺院がある。 あれれえ? 事件現場は、今にも崩れそうな武家屋敷ということだったけど、武家屋敷らしいものはない。 広い敷地に、「御竹蔵」という書き込みがある。 こんなところから、しゃかりきになって調べたら、「忠臣蔵本」には書かれていない、おもしろいことがたくさんでてくる。 ということで、ブレンサイエンス(脳科学)をツールに忠臣蔵の謎解きを試みた。「おもしろい。1年連載で書いてみませんか」 ということで、書いたのが、「忠臣蔵で江戸を探る脳を探る」。平成10年の新年号から連載がスタート。まもなく、次の年NHK大河ドラマの発表があった。「忠臣蔵」題材にした『元禄繚乱』だ。 NHKとうまくつながって、1年連載でスタートしたものが2年に延長。番組の解説を織り込みながらだから、書くのも楽だ。 書いた雑誌は地域限定の薄っぺらなものだったけど、作戦成功! エリア外の歴史博物館から古文書講座の副読本に使わせてほしいとか、札幌・秋田・長野・愛知・福井・広島・福岡といった遠方の読者からも手紙をいただいたし、忠臣蔵関係のイヴェントには今でも招待される。 もちろんボクは忠臣蔵オタクではないので、今は元禄期を起点に江戸時代をあちこち彷徨ってる。
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